夏なんです
地元が好きだ。

↑は全く関係ない、吉祥寺から西荻へ歩いた時に見つけた遊具ですが
地元の街ではっぴいえんどの“夏なんです”を聴くと、いつもより深く息を吸いたくなる。
空が広くて、ひらけていて、高い建物といえば駅前のマンションと鉄塔くらいである。
最寄り駅を背に家の方面へ歩き出して10分も経たないうちに墓地がみえる。山を切り崩した斜面に墓がたくさんある。色んな骨が埋まっている。2、3年前あの墓地のてっぺんに行ったことがある。コロナが流行り始めて街がしんとしている時に、騒がしい友人と2人で山を登った。彼は金髪で、派手なパーカーを着ていてわさわさ生えている草の中でよく目立った。てっぺんからの眺めは昼すぎの、なんてことない景色だったけれど、あのへんがおれの家かなあ、あのへんはあいつの家で、あれが病院か、とかなんとか言って盛り上がった。川沿いの更地、あんなのあったっけ?山を降りて更地へGO。何も無かった。更地があった。あったんだね。はは。中学の同級生と同じ苗字の表札がかかっている家を見つけてあの子の家かも、と思ったりした。
祖母の家から東へずっと歩くと田んぼがある。友人の知り合いがそこで酒屋をやっていて、夏はここでBBQやってるんだよ、と友人が教えてくれた。広い家だった。倉庫がふたつあった。駐車場に3台車が停まっていた。4人姉妹の次女に会った。髪の毛が長かった。きれいだった。
中学は坂の上にあった。今これを書いていて思い出した。体育館までの渡り廊下が好きだった。そこで国語の先生に怒鳴られた記憶がある。次の日学校を休んだ。1週間行かなかった。担任に笑われた。怒鳴られたから来たくないんでしょ?と。
物心ついてからずっとこの街で生きているのだから当たり前ではあるけれど、ひとつの思い出に付随していろいろな記憶が蘇る。
はじめて君島大空の曲を聴いていたく感動したのも地元の街である。カフェに向かう途中の踏切を待っている時、それまで聴かずにいた彼の曲をふと再生したのだ。なにを聴いたのかは忘れてしまった。わたしのことだからきっと遠視のコントラルトでしょう。トップソングの1曲目は聴かないというマイルールがあるのです。
自転車が錆びていてキモいからという理由でずっと自分の自転車を嫌っていて、友人たちからは数年間ずっと自転車に乗れないと思われていた。バイト帰り夜道を歩くのは危ないからという理由で自転車に触ることを決意して、母と自転車屋に行った。数年ぶりに自転車に乗ったらカーブができなかった。最寄り駅の駐輪場を契約しに行った。安すぎてひっくり返った。駐輪場のおじさんが優しかった。
友人とサイゼリアに行く日、自転車で向かったら遠くから私を見つけた友人に「スピードが遅すぎておばあちゃんが乗ってるのかと思った」と言われた。その日の夜、花火をした。世界が終わるのかと思うくらい激しい雷が雲の隙間から見えた。
バイト終わり、駅から自転車で帰る時にふと音楽を聴きながら自転車に乗ったらかなり気持ちいいだろうなと思ってイヤホンを装着、そのまま自転車で走り出したけど外の音が聞こえないと危ないわなと気づいてイヤホンを外した。イヤホンを外すためにスピードを落として自転車を停めようとしている時、情けねー と思った。
地元が好きだ。とくに夏の風景が。ひとりで適当に散歩していたら公園を見つけてこんな公園で誰が遊ぶんだよと思った日や、気分が良い日にケーキ屋でふたつケーキを買って祖母の家に歩いていったり(バタークリームだから、と祖母は食べるのをすこし嫌がっていた)、地元のアクティブな友人に連れていかれた夜の細道も、思い返せば半袖を着ていた。
夏なんです が、似合う街です。そういう街に住んでいます。こんなところからはやくいなくなりたいと思いながら、ずっとこんなところに住んでいます。

それはそれとして、新宿まで電車で15分で行けるとこに住みて〜